花鳥との出会い ―水墨に見るいろどり―

古より人間は狩猟の獲物や家畜、愛玩動物、ときには神や仏に仕える神聖な生き物としてさまざまな動物と関わり合いながら生活をしてきました。そのような動物たちは画家や造形作家の格好の題材として多種多様な形で遺され続けています。日本では線刻の原始的な動物画にはじまり、古墳の埋葬品や儀式に使用する動物埴輪などで身近な生き物が造形化されました。信仰の世界では神道絵画における鹿や仏画における獅子などのいわゆる霊獣、禅宗美術では牛や猿などが描かれています。また、中国絵画の影響を受けた花鳥画や草虫画は、中国古典文化を軌範とする多くの室町水墨画家によって描かれました。
当館の令和6年度春季展示では、動物が表現された所蔵作品をご紹介します。重要文化財「騎獅文殊図」(良詮筆、乾峯士曇賛)をはじめ、「猿図」(以天宗清自画賛)や「鶏図」(俵屋宗達筆、鳳林承章賛)などの動物画の数々をご覧いただきます。
また、動物をモチーフとした各国の古代美術品も展示いたします。紀元前から中世におよぶ造形物の変遷に注目していただければ幸いです。
さまざまな形で遺された生きとし生けるものたちの姿をどうぞご堪能ください。

主な作品


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