玉梵芳筆 南北朝時代 14世紀 全期間
蘭という春咲く蘭と、宸ニいう秋咲く蘭が、
時空を越えて今、共に咲くという光景。
天に向かい伸びゆく蘭葉の翻りを、墨の絵筆でいかに表現するか。
その技を競う。
禅僧の墨戯として多く描かれた。
筆者不詳 惟肖得巌賛 室町時代 15世紀 全期間
盆栽のような竹石を描く。
この小宇宙に、禅僧たちは心遊ばせる。それぞれに詩を詠み、
それを絵のうえに書きとめてゆく。
詩書画一致の境地をたのしんだ。
等春筆 室町時代 15世紀 後期
中国の洞庭湖の名勝・瀟湘の地を描く。
そこは季節を問わず時間を問わず、さまざまな気象のもと、美しい景色をみせた。
その美しさを象徴する八つの風景が瀟湘八景だ。
図3は洞庭秋月。
文字どおり洞庭湖の秋月の美しさ。
図4は江天暮雪。
川も天もすっぽりと雪に閉ざされた真冬の世界。
その情趣を墨の濃淡で描きおこす。これぞ室町の風雅。