利休と茶の湯

茶聖として広く知られる千利休(1522〜91)は、安土桃山時代に侘茶を大成させました。当時の唐物を至上とする価値観の中、新たに確立された利休の茶風は、珠光(1423〜1502)によって生み出された禅の教えに通じる侘茶の精神に基づくもので、茶の湯の礎として現在もなお国内外で親しまれています。
当館コレクションの中心である水墨画や墨蹟といった中世禅林文化の作品は、茶の湯の世界と密接に関係しています。禅林で生み出された水墨画や墨蹟の掛物は、ひとたび茶席で用いられると「第一の道具」と称され、茶道具としてたいへん重要視されてきました。当館創設者の正木孝之(1895〜1985)が中世禅林文化に関心を持ちコレクションを形成していく中で、茶の道を志して熱心に修練に励むようになったのもごく自然な成り行きであったといえます。
本展では茶の湯の世界に焦点をあて、利休の存命中に描かれた唯一の作品「千利休像」(重文、伝長谷川等伯筆)をはじめ、茶人として滴凍の号を名乗った孝之が実際に茶席でも用いた掛け軸や茶道具をご紹介いたします。また、孝之が茶道具蒐集において注目した地元の堺・泉州の湊焼や谷焼などの作品も併せて展示いたします。正木コレクションと創設者孝之による茶の湯の世界をどうぞお楽しみください。

主な作品

@重要文化財「千利休像」 桃山時代 A「一休宗純墨蹟 滴凍軒号」 室町時代 B「緋襷矢筈口水指」 桃山時代 C左:「谷焼赤楽茶碗」 右:「谷焼黒楽茶碗」 江戸時代 D「茶杓 銘ゆみ竹」千利休作 桃山時代 E「竹製瓢形茶器」 桃山時代

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