第1部 請来絵画と古陶

主な作品I コレクションの始まり
伝銭選(せんせん)「果蓏秋虫図(からしゅうちゅうず)」

伝銭選 果蓏秋虫図

正木孝之の美術品収集が始まったのは、24、5歳頃からだと言われています。
はじめ竹内栖鳳や橋本関雪などの近代日本画を収集していましたが、この作品と出会い、東洋古美術品の収集にのめりこんでいきます。
筆者と伝えられる銭選は南宋末〜元時代の文人画家。呉興(浙江省)の人で、字は舜挙、号は玉潭、巽峯、霅渓翁。画面は無背景の絹地に秋瓜、メヒシバ、キリギリスが描かれます。瓜は蔓が長く伸び、多くの実をつけることから子孫繁栄の象徴とされ、吉祥のモチーフです。左下に「舜挙」朱文方印が捺されますが、銭選の規準印と異なり、また画風の上でも明時代に制作された草虫画であるとの指摘がなされています。


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