第2部 茶の美

主な作品T国宝
大燈国師墨蹟 渓林偈・南嶽偈(けいりんげ・なんがくげ)(鎌倉時代)

宗峰妙超(1282〜1337)は京都大徳寺の開山。国師号を贈られ、大燈国師という。彼は中国南宋時代の禅林を代表する高僧虚堂智愚の法嗣、南浦紹明から教えを受けた。渓林偈、南嶽偈の二つは、その法祖父にあたる虚堂の偈を書写したもの。自身が虚堂智愚の法脈に連なることを誇っていたことがうかがえる。
渓林偈は、晩秋の風景の中、ありのままの相を体得し、公案とすることの難しさを述べる。一方南嶽偈では、中国の山岳、南嶽と花頂峰の壮大さを時の天子と重ねて詠む。 その書風は、破格の書というにふさわしく、力強く堂々としている。自身の全てを紙にぶつけたような気宇軒昂たる筆跡である。
本墨蹟は、戦後の混乱期に鴻池家から正木孝之の手に渡った、正木コレクションの白眉と言える作品である。


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