主な作品4 隻履達磨図 南浦紹明賛 鎌倉時代

禅宗の始祖、達磨を描いた図である。
天竺から海を渡りやってきた達磨は、はじめ梁に行き、その後魏へと向かう。そして壁に向かい九年、瞑想にふける。「面壁図」として人々に知られる姿である。達磨の死因については毒殺とされているが、誰がそうしたのかははっきりとはしない。死後、魏の宋雲という人物がパミール高原で片足だけ履物を履いた僧に出会う。
宋雲が帰国後、達磨の墓を開いてみると、その姿はなく、片方の履物だけが残っていたという。ここに「隻履達磨図」の図様が生まれる。

賛をするのは南浦紹明(1235-1309)である。彼は中国に渡り、一休が敬慕する虚堂智愚から教えを受け、法嗣となった。一休にとって五代前の師祖にあたる。達磨から続く禅宗の教えが、虚堂智愚から南浦紹明に続き、そして一休へと伝わる。師から弟子へ、確実にその教えが伝わっていく「師資相承」を示す作品である。

隻履達磨図 南浦紹明賛

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